1 総合診療医のミッション
まず演者の専門である総合診療について
「できるだけ多くの人に良い影響を与えられる医師を目指す」
その延長にあったのがマインドフルネスによる疼痛治療でした。

2 西洋科学での疼痛の捉え方
侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛など分類し、
痛み(結果)と原因を一対一対応させて原因を突き止め除去することを目指すものです。

3 東洋思想の応用(マインドフルネス)
ところが実臨床では薬剤を投与しても痛みが治らず、痛み止めがどんどん増えていく場合があります。
そこで東洋思想の「諸法無我」「諸行無常」に則り、
痛みに単一の原因を求めず、
●そのまま見つめて
●心の向きを変える
ことにより痛みが自然に薄らいでいくのを待つ方法を紹介いただきました。

上記をふまえ、昨年、演者が世界家庭医学会で発表した
”A case of mindfulness being effective in the treatment of chronic intractable abdominal pain in an elderly patient”(高齢発症の慢性難治性腹痛に、マインドフルネスが有効であった一例)から
実効性と、疼痛診療における立ち位置、西洋的アプローチとの使い分けなどディスカッションしました。

【参加者の感想】
●慢性疼痛に対するマインドフルネスの治療が奏功する根拠が、諸行無常、諸法無我にある、ということはとても目からウロコでした。自信を持って対応できるようになりました。(精神科医)
●提示された症例に対し、話を受ける前では悪性腫瘍を疑ってさらに他の検査をオーダーしていたと思います。今は痛みに対して新しいアプローチを「知る」ことができたので、経験を積んでその考え方を「身につけて」いこうと思います。医者として働き始めて成長していけるのが楽しみです。(医学生)