後編は、前編で学んだ「傾聴・共感」と治療との関係についての解説でした。
【メンタライゼーションとは】
「どんな人のどんな行動にも、その人なりの理由が存在している」という前提で相手を理解しようとする姿勢のことです。
動物に育てられたヒトは一切のメンタライジング機能がありません。
ではなぜヒトはメンタライジングできるようになるのでしょうか?
母親をはじめとした他者にメンタライジングしてもらうからです。
人として当たり前のような概念ですが、
メンタライゼーションは、相手との信頼関係を育み、
ともに治療に向かう勇気づけ、ときに病気に対する直接的な
治療として作用します。
【感情を拾うときの「型」】
メンタライゼーションを行う上で意識すべき4つの「型」があります。
①相手の感情を同定する
思考や行動の歪みを脇に置いて、感情を同定する
②状況→感情 のセットにして返す
「〇〇だから…〇〇と感じたんですね」
③相手の話を言い換える
相手の状況や感情をより適切な表現に変換する
④時に沈黙する
相手の話を肯定的に受け止め、共有することを苦でないことを伝える。
【まとめ】
相手の話に耳を傾け、自分の意見を言いたい気持ちをこらえてまずは相手の感情を拾う。
「そうなんです!」を集める中で治療の道が開けることを教えていただきました。
【参加者の感想】
●患者さんの思いに寄り添いながらも自分を守り、継続的に看護を続けるにはどうしたらよいかということを考えていたので、今回のイベントでの傾聴と共感の内容はよく勉強になりました。学んだ内容を心に留めて、少しでも実現できるよう、これから出会う患者さんと向き合いたいと思います。(看護学部生)
●メンタライゼーション自体が治療になることが実験を通して示されているというのは新鮮な驚きでした。chatGPTに「うつ傾向なので自殺したい」と言って反応を見てみたのですが、「私はプログラムなので専門家に相談してください」と言われました。生成AIにはメンタライゼーションはまだできないことだったようです。AIにメンタライゼーションを学習させれば型の習得はできるようになりそうな気はしますが、人間に「わかってもらえた」という感覚とは乖離がありそうだなとも考えていました。(医学生)